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リン・H. ニコラス著「ヨーロッパの略奪―ナチス・ドイツ占領下における美術品の運命」

西洋絵画好き必読かも。

いや、どれもこれも手に汗握るストーリーです。

始めは、第一次大戦まえからなんでしょうか。ヒトラーが「退廃的」と称した絵は、粛清の対象になるのですが。それを、軍資金に充てるためにオークションにかけたり。みなさん目的がわかっているので、激安で売られていくとか。そして、それは一部であり、多くは粛清されてしまったとのこと。

一方で、みなさん、必死に、大切な絵を隠すわけです。もちろん、粛清や、没収から守るために。ヨーロッパは危険だからアメリカへ渡ったものも多かったようです。

その後ドイツがどんどん侵攻していきます。

ナチスのロンドン空爆を描いた映画もたくさんあり、タイトルとしては「ヘンダーソン夫人の贈り物」、最近では、「イミテーションゲーム」なんかを思い出すけれど。何かの映画の中でも、美術品を退避しているシーンは何度か見ているような気がします。ヒトラーが集めている絵は、伝統的な、ドイツの絵。クラナハなどがお好きだったようです。ムソリーニ訪問時に、喜んでウフィッツィをくまなくみて歩き、ムッソリーニを辟易させたとかいう話も、ここだけ切り出してみると、なんだか笑ってしまいますが。

ポーランドから始まります。なんとなく、ポーランドのものは多くが破壊されてしまったように読めますね。

そして、パリへ・・・。実は、ナチスもフランスの文化を好んでおり、パリを大事にしたようです。特別な扱いだったのですね。

とはいっても、グッゲンハイムさんなど、状況を読まずに楽観的に買い付けるシーン。アメリカに逃げるための資金としてアートを売る人たちがいたこと。また状況が変わったが、彼女の絵をルーブルが保護してくれなくて泣きそうになっていたようです。最終的には友人宅に隠します。淡々と事実のように時系列に事実が書いてあるように読めるにもかかわらず、心情が手に取るようにわかるような気がしてなんともいえないものでした。

さらに、オランダへ・・・。

先日訪問した、クレラー・ミューラー。こんな風にゴッホ、ピサロ、マネなどを買い付け方法におどろきました。どうしてこんな絵を買ったんだろうと思った、ルノワールのピエロや、エル・グレコのぶどう・・・なんていうのは、こんな風に購入されたのかもしれないですね。退廃的というか、ため息。次回行くときは、笑って拝見できないかもしれません。愛おしいかも。

こうしてどんどん進んでいきます。もうちょっと、年号をしっかり読み取っておけばよかったかな。でも、この後、1940年くらいに、ホイットニー、ロックフェラー、グッゲンハイムなどがアメリカ入りしていると書かれていました。また、アメリカ主導の芸術家・知識人・政治的亡命者をアメリカに避難させる計画があったようです。現地では、ヴァリアン・フライという人によって、シャガールや、エンルストなどがアメリカに亡命したとかいうこともかかれていました。

このあとも、ヒトラーとゲーリングの収集は続いています。

そしてエルミタージュ。まだ見ぬそこにも、ナチスはいっていたんですね。あぁ、読むにつけても痛ましい。そして、エルミタージュの館長の素晴らしさ。泣けました。

一方で、アメリカ。日本の作品も保護されたことなどはなんともいえません。あるいは、防空壕の地下で大変なことになっていた美術品の保護対策とかを議論したり。日に当てないと黄変しちゃうんですねぇ。アムスの国立美術館にあった「夜警」もそのひとつだったみたいです。イタリアのダ・ヴィンチの最後の晩餐が擁壁で守られている絵も始めてみました。イタリアもこんなに大変だったのですね。

その後、連合軍による占領・・・。ここから先はいろいろ登場人物が多くて理解できず。最終的には、分類にしたがって、返還されたり、アメリカに残されたりしたということがかかれています。また返し先の見つからない美術品もちゃんと管理されており、今も活動は続いているようです。

フェルメールは、もう1930年代には大きな存在だったのなぁというのも、実感いたしました。なにしろ、ナチス・ドイツでも流行していたこと。ゲーリングのもっていた「キリストと姦婦」の贋作のこと。それから、アメリカに渡ったフェルメールとその返還のお話など、この本を通してフェルメールの人気がわかります。

さて、著者についても、訳者あとがきから少し読み取りました。アメリカ人で、イギリスの大学を出て、ワシントンDCのナショナルギャラリー勤務という方のようです。アメリカ人の著作だろうと読みながら思っていたのですが、ヨーロッパにお詳しいのもこの留学経験によるものなのでしょうか。

失われたものも多く、戦争も悲惨だったと考えますが。その中で、多くの人が、こうして守った文化財というのはすごいな~とつくづく思います。

今、自分が、少しずつかかわっていることも、そんな営みの一部になるとよいなと、思っております。

次は、『ダ・ヴィンチ・レスキュー』(2006)/『モニュメンツ・メン』(2009)/『イタリアを守れ──ナチスからイタリア国宝を救う競争』(2013)をよもうかなぁ。映画『モニュメンツ・メン』(邦題『ミケランジェロ・プロジェクト』監督ジョージ・クルーニー)もみなきゃ。と思ったけ
ど、日本語の本がないじゃない~。英語版Rescueing Da Vinciオーダしました。
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