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小野文子著「美の交流―イギリスのジャポニスム」

北斎に関する番組をいくつかちら見することがあり、色々疑問を持ち始めてしまいました。いやはや、産業革命とジャポニズムだけでも、番組を座って全部みていない私には謎すぎてわからないじゃないですか。そして、ムーミンのこの絵は、北斎の影響って説明など唐突すぎてどう納得していいのか・・・。一度見たからって、影響を受けているとは言い難いようにおもってしまったりするじゃないですか。

もう少し、時代と、場所を、整理しないといけないのですね。というわけで、なんとなく手に取った本でございます。

この本によると、イギリスのジャポニズムと、パリの印象派のジャポニズムは、全く起源を別にするものだということを解説しています。

出だしは、いつから日本の作品が見られるようになったのか。イギリスという場所においては、1850年代(嘉永3年~)くらいから見ることができたように書かれています。

最初のロンドン万国博覧会は1851年。中国の作品の中に、日本の作品があったとされます。ペリー来航も1853年。やはり、広く日本の工芸品がおおっぴらに外に出ていくのは、まだ早いんでしょうか。

二回目のロンドン万国博覧会は1862年。ここで初めて、東洋というくくりから離れて"日本"という形になるようです。初代駐日イギリス総領事館のラザフォード・オールコック卿に幕府が依頼して出品作品が選ばれたようです。(クリストファー・ドレッサーによれば、とこの本にはかいてあります。)美術品というよりは、生活習慣を特徴づけるもの-民芸品?手工芸品?が多く選ばれているとされます。- この本によると、徳川幕府の遣欧使説は失望したことになっているようですけれども、もう少し、装飾性の高いものを出したかったのでしょうか。

その後、東洋の品物を売る店というのができてくるのですね。明治維新に入ってくるし、大分様相がかわっていくのかと....。日本も、1974年に政府が出資して設立した貿易会社ができ、パリ支店がつくられたとしています。ここで、通訳としてパリにいた林忠正氏がでてくるのですね(ようやく....彼にたどり着く)そして、1882年に、若井謙三と共に、Wakai-Hayashi Companyを設立。1890-1901に156,478枚の浮世絵を売ったとされています。あぁ・・・ようやく北斎さんにたどり着きました!(笑)。でも、まだこの本の16ページなんですけどね。

ちなみに、名古屋市美術館 学芸課長 神谷浩氏(2007年当時)は、「葛飾北斎が、シーボルトと取引されたのではないかとされている時期は1800年代前半。」としています(http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20071217/143204/)。ある番組では、もう本当にシーボルトが取引したというような解説だったように聞こえましたけれども。それはともかく、この取引と、パリや、ロンドンの北斎とは必ずしもリンクしないのでしょうね。そもそも北斎は、1760〜1849年の生存となるので、1850年代以降とすれば、彼の死後に北斎ブームはやってきたのですね。

また、うろおぼえですが「世紀の祭典 万国博覧会の美術 ~パリ・ウィーン・シカゴ万博に見る東西の名品~」とかいうタイトルの東京国立博物館の展示では、このあたりの1870年以降の博覧会がきっと中心になっていたような気がします。あぁ、カタログ買っておけばよかった。あの、デカデカとした不思議な工芸品の数々の意味を、今となって実感いたしました。

このあと、この本ではイギリスにおけるジャポニズムという展開に入っていきます。ホイッスラーさんが推進する「唯美主義」に起源するとされます。また、ホイッスラーは、来日しており。日本国内でも有名だったと書かれています。彼のコレクション等についてもこの本の後半で述べられていました。

そして、この流れの中で、19世紀後半の産業革命と、「良い趣味」、「良いデザイン」としてのジャポニズムということも述べられています。その「良い趣味」という運動の中には、ウィリアム・モリスなどもでてくるわけですが、彼は工業化・大量生産そのものを否定する方向であったと。一方、工業化の中で、美しいデザインという方向性を示した人物として、クリストファー・ドレッサーと、アーサー・ラゼンピー・リバティという二人がいて、日本の工業デザインを取り入れたとしています。フム。。。つまり、あくまで、1962年の万国博覧会よりあとにならないと、その流れは来ていないということになるのですね。

ここから先も、いろいろかかれていますが、私の疑問が少し氷解したので、このメモは終了。あっという間に、テレビ番組でみて理解できなかった意味が分かりました。適当に手に取ったのに、不思議な出会いですね。文献がたくさん引用されていますから、まだまだこのまわりの研究はありそうですね。もう少し、新しい本を読むと、変わってますかね。そろそろ博物館・美術館にも足をはこびたいですね。本物をたくさんみないことには....。
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